前回見たとおり、形容詞(い形容詞)の活用は以下のとおりです。
非過去肯定・非過去否定・過去肯定・過去否定
たかい・たかくない・たかかった・たかくなかった
ポチっと応援していただけると嬉しいです!
このように、たか―い の「い」の部分が活用の対象となります。
当然ですが、形容動詞(な形容詞)や動詞ではこんな活用にはなりません。
例えば「有名な」と「食べる」だと、
有名な・有名じゃない・有名だった・有名じゃなかった
食べる・食べない・食べた・食べなかった
という感じです。
ここで、最近よく耳にする表現があります。
「違う」のて形と思われる表現です。
て形について、詳しくはこちら↓
日本語教育さわりのさわり(動詞編その2) - おひとりさまの団地暮らしの日々
「違う」は動詞ですから、以下の活用になります。
違う・違わない・違った・違わなかった
て形は「違って」になります。
彼はあの人とは違ってとてもいい人だ。
という使い方ですね。
ところが、「違くて」とする表現をよく聞くようになりました。
彼はあの人とは違くてとてもいい人だ。
となります。
初めて聞いたのは10年くらい前のEテレのフランス語講座にでていた宝塚出身の女優さんだったと思います。
妙な言い方をするなあと印象に残ったので、記憶しています。
最近では電車の中の会話でもTVの街頭インタビューでもよく聞くようになりました。
同意を求める「違くない?」とかも。
スポーツ選手でのインタビューで「違かった」とまで言っていた選手もいましたね。
言うまでもなく、これらの活用は形容詞のものです。
なんでまた、わざわざ別の品詞の活用にしたんでしょうか。
元々、関東や東北地方の方言として「違くて」は使われていたらしく、それが広まっていったというのが定説のようです。
「~と違い、~」という表現がありますが、これを形容詞と同じにしちゃったんでしょうね。
方言であればしょうがないのですが、これが普通の日本語として定着するのはどうでしょう。
違うと同じ活用をする動詞は結構あって、
買う、会う、言う、吸う、払うなどがあります。
これらが「買くて」や「払くて」となるのはちょっと考えられません。
「ら抜き言葉」のように幅広く使われていくならまだしも、「違う」だけ特別扱いされるのも効率が悪く、使用者が広がっていくのはまずないのではないでしょうか。
もちろん、日本語教師としてはこれ以上広がってほしくないです。
どうして「違う」だけ特別なのか、説明できませんからね。
TVのタレントさんたちも使わないでね、と願うばかりです。
スポンサーリンク