助詞の「は」と「が」の使い分け。
このテーマでいくつも論文が書かれているほどで、結構やっかいな内容です。
もちろん、日本語教育でも避けては通れませんが、初級レベルではそれほどでもありません。
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まあ、学習するのは二つくらいでしょうか。
まずひとつ目。
a.太郎は沖縄に行きました。
b.太郎が沖縄に行きました。
この二つの文の違い、わかりますかね?
英語にするとどちらも、
Taro went to Okinawa.
になります。
英語ネイティヴからすると、何が違うんだ? となります。
説明しろと言われると、なかなか難しいのではないでしょうか?
では質問文を追加してみます。
c.太郎はどこに行きましたか?
d.誰が沖縄に行きましたか?
こうすると、簡単ですね。
c.の答えがa.、d.の答えがb.になります。
つまり、a.では、太郎がどこかに行ったのは知っているけど、どこに行ったのか知らない人に対して言う文です。
一方のb.は誰かが沖縄に行ったのは知っているけど、誰が行ったのか知らない人に対して言う文です。
a.では沖縄が、b.では太郎が伝えたい内容になります。
この違いがわからないと、正確に意図を伝えることができません。
なので、質問文と一緒に説明することが多いですね。
二つ目は、既出の話題かどうかで切り分けるルールです。
次の文章を見てください。
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。
おじいさんとおばあさんが初めて登場した時は「が」を、2回目以降は「は」を使います。
「は」には、いったん話題にあげた内容を話すときの用法があるからです(もちろん例外はありますが)。
これは比較的わかりやすいようです。
I have a pen.
The pen is ~.
の a と the の関係に似ていますからね。
本当に苦しいのは、長い文を作るようになる中級以降なのですが、初級ではこのへんで勘弁してやるかという感じです。
中級以降が苦しくなるということは、日本語ネイティヴも同様ということです。
わかりやすい文は短い文だと聞いたことはありませんか?
たしかに長い文よりはわかりやすいことが多いですが、短ければいいというものでもありません。
以下の二文をみてください。極めて短い文です。
e.太郎は家から持ってきた本を読んだ。
f.太郎が家から持ってきた本を読んだ。
ここで質問。
本を読んだのは誰でしょう?
e.では太郎しかいません。「誰が」家から持ってきた本かはわかりませんが、とにかく本を読んだのは太郎以外にはいません。
これに対して、f.は誰だか決められません。
太郎が読んだかもしれないし、太郎は本を家から持ってきただけで、「私」がその本を読んだのかもしれないからです。
これは「が」の特性によるものです。
主語を意味することもあるし、名詞修飾にも使うからです。
「太郎が~本を読んだ」のか、「太郎が家から持ってきた本」なのかで意味が違ってきます。前者ならe.の書き方がわかりやすいですし、後者なら「私は」をどこかに入れればいいでしょう。
だから中途半端な、f.のような文を書くのは避けなければなりません。相手に伝わりにくくなりますから。
と、言うのは簡単ですが、なかなか自分では気づきにくいものです。
身近な人にお願いして、わかりにくい文章かどうかチェックしてもらうのもいいと思いますよ。
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