まいどなニュースというサイトで、「小綺麗になった」が褒め言葉かそうでないかという記事が掲載されていました。
髪を切った夫に言ったら、怒られたというもの。
日本語教師という仕事柄、こういう話は大好きです。
外国人学習者が文法的にはあっていても使用に不適切な表現の文を作ることが多いですから、何がよくないか説明する必要があります。
これもその一つでしょうね。
広辞苑では、小綺麗は「きちんと整っていて気持ちのいい感じのする様子。こざっぱり」という説明が書かれています。
なので、小綺麗という言葉自体に悪い意味はありません。
問題は「~になった」の方でしょう。
小綺麗になったということは、それまでは小綺麗でなかったということなので、たしかによろしくないかな。
でも、「小綺麗にした」だったらどうでしょう。
床屋帰りの人に「ずいぶん小綺麗にしたね。」と言ってもそれほど違和感がないように思います。
これは「なる」と「する」の違いで説明できます。
「なる」は、自然に変化して完成した姿の意味で、「する」は、自分の意思である動作や行為を行う意味。
したがって、「小綺麗になる」だと床屋前後の状況がイメージされるのに対して、「小綺麗にする」だと床屋に行った行為の方にフォーカスされます。
結果、「小綺麗になる」は身だしなみに無頓着という意味が含まれてしまいます。
「小綺麗にしたね。」だったら、夫婦げんかにはならなかったでしょうね。
ところで、記事の中にあった「写真写りがいい」はどちらとも取れるから難しいなあ。
今のところは日本語レッスンでは使われたことはないけど、どう対応するか考えておくかな。