中級以上の日本語レッスンを行っていると、「させていただく」の表現は毎月のように扱います。
それだけ要注意な表現なのですが、面白い記事を見つけました。
内容はこれまで言われている「させていただく」の誤用の説明が中心ですが、ちょっと異色の誤用が。
なんでもある講演会の受付で「受講票を確認させていただきます」と言われた年配の男性が「私には許可を与える権威がないのにその表現は失礼だ」とキレたそうです。
念のために説明しておくと、相手に許可をもらってやる行為がこちらの恩恵になる場合に使います。
「説明させていただきます」は、これから相手の時間をもらうことで許可をもらい、説明することで相手に理解してもらえる機会を得たという点で恩恵があります。
なので、受付の人の表現は完全に正しい使い方。
受講票の持ち主は年配の男性で、その人にみせてもらうことで確認作業ができるからです。
正しい使い方をしているのにキレられた受付の人は災難というしかありませんが、文句言った本人は自分が正しいと思い込んでいますからより厄介。
別の場所でまたトラブルを起こしそうです。
表現でまた物議をかもしたのがこの人。
「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言して大炎上。
発言の撤回に追い込まれました。
実はこれとほとんど同じ表現を、2022年1月18日の日銀総裁記者会見で使っています。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2022/kk220119a.pdf
「家計の値上げ許容度」という言葉は、おそらく日銀の指標の一つの表現で使っているのではないかな。
6日の講演が誰向けに行われたのかわからないけれど、おそらく一般大衆向けではなかったはず。
内輪の表現がそのまま外部に出て大炎上したというのが今回の話だと思う。
まあ、自分の意図した表現が必ずしも相手に正確には伝わらないことがあるというのをみんなが再認識すればいいのだろうけど、ネットみてるとそう簡単には収まらないかなあ。