日本語教師としては毎年たのしみにしている文化庁の「国語に関する世論調査」。
その中の誤用調査。
今年は「悲喜こもごも」「悪運が強い」「煮え湯を飲まされる」「うがった見方をする」「失笑する」の5つでした。
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/94111701_02.pdf
私も「失笑する」以外は多数派の本来の意味とは違った使い方の方。
「煮え湯を飲まされる」「うがった見方をする」「失笑する」は平成23年度から再出題。
同じ間違いをしているとは情けない。
「うがった見方」の「うがった」の言葉の響きが「疑った」になってしまうんでしょうね。
うがったは「穿つ」の活用形。
「穿つ」には物事の真相や人情の機微をしっかりととらえるという意味があります。
だからプラスの意味。
「なかなかうがった言い方をするね。」と言われたら実は褒められていることになります。
ただ、これを言う方が間違えていたらただの皮肉になってしまいますが。
あとは「悪運が強い」という表現。
悪運を辞書で引くと二つの意味が掲載されています。
1.運が悪いこと
2・悪事をしても悪い報いを受けずに栄える運命
ここからは「悪い状況になってもうまく助かる様子」にはつながりません。
おそらく「運が強い」の頭に悪をつけて「悪・運が強い」とみんな勘違いしたんでしょうね。
そうすると悪い状況になってもうまく助かる様子、と思ってしまうのはよくわかります。
いずれも使われている言葉の意味がしっかりわかっていれば、本来の使い方もわかるはず。
日本語を教える立場から、毎年反省させられます。