騒動が起きてからしばらく日にちがたっていますが、いまだにネットを騒がせているのが中日ドラゴンズの応援歌騒動。
応援歌の中に「お前が打たなきゃ誰が打つ」という部分があり、この「お前」という表現が選手に失礼だと言い出したのが、中日の与田監督。
ポチっと応援していただけると嬉しいです!
ではどうすればいいかというと、選手の名前で呼んでほしいとのこと。
「根尾が打たなきゃ誰が打つ」
という感じでしょうかね。
なんかこっちの方が違和感ありまくりです。
応援というよりも、飲み屋でオッサン連中が解説者きどりでTVに向かって言ってるような感じです。
大体、名字を呼び捨てにする方が失礼な気がします。
サインもらうときに名字を呼び捨てにするかというと、そんなことはないでしょう。
「根尾さんが打たなきゃ誰が打つ」
はもっと変だし。
かといって、ファーストネームだと一般に名字よりも長いことが多く、字余りになることがあるでしょう。
では、すこし丁寧に
「あなたが打たなきゃ誰が打つ」
だと、おとなしすぎていまいち盛り上がりに欠けますね。
結局、一番すわりがいいのが「お前」でしょうね。
たしかに知らない人に「お前」を使うのは失礼で、場合によってはケンカになります。
その一方で、仲がいい相手に親しみを込めて「お前」を使うのはまったく問題なく、逆に丁寧すぎる表現の方が距離をうかがわせます。
こうしてみるとファンが選手に親しみを込めた応援に使うことに、それほど問題があるとは思えないのですが。
与田監督を支持する人ももちろんいるでしょうし、日本語の二人称の言い方のむずかしさがよく出た騒動だと思います。
さて、騒動の当事者の方々には申し訳ないのですが、日本語教師の立場とすれば、こんなにおいしいネタを提供してくれてありがとうという感じです。
二人称代名詞は英語ではYouだけですが、日本語は実にたくさん存在します。
あなた・お前 以外にも、君・貴殿・貴兄・おたく・あんた・てめえ・貴様・お主 などなど
日本人は実に器用に使い分けています。
とはいっても、会話ではこのうち数個しか使っていないはずです。
これらの表現の使い分け方法について中級レベルの外国人学習者から質問が飛んできます。
特にマンガの愛好者から質問を受けることが多い感じです。
日本人でも使い方に賛否両論あるのですから、絶対的な正解はありません。
この騒動をモデルケースに二人称の使い分けを考えてもらうレッスンのシナリオが作れそうです。
スポンサーリンク