おひとりさまの団地暮らしの日々

ファミリーのイメージが強い団地生活。ですがおひとりさまの人も結構多いんです。そんな団地の一人暮らしの日々を綴ります。

「ご説明をさせていただける」ってどういう気持ちで言ったんだろう

ビジネス日本語を教えていると、必ずといっていいほどでてくる表現が、「~させていただく」です。
自分の行為を丁寧な言い方で表現するので、よく使われます。
但し、濫用は禁物。
正しくは、「第三者や相手から許可を受けている場合」と「自分が恩恵を受ける場合」を満たした時にしか使ってはいけません。
詳しくは文化庁の動画があります。2分30秒あたりからです。
 
文化庁の動画では、
コピーをとらせていただけますか?
→OK 許可〇・恩恵〇
研究発表をさせていただきます。
→NG 許可×・恩恵〇
同じクラスで勉強させていただいた者です。
→NG 許可×・恩恵×
という例を出していました。
 
私がよく使うNGの例は芸能人の記者会見での
「誰々さんと結婚させていただくことになりました」
です。
結婚で記者に許可をもらう必要はないですからね。
 
説明するとみんなわかった顔をしますが、実際の会話では話し相手の日本人が間違えていることが多々あるので、混乱することはよくあるようです。
でもまあ、丁寧に言いたいということはまだ伝わります。
 
ところが、6月4日の安倍首相の国会答弁は意味不明でした。
社民党の福島党首からの、サービスデザイン推進協議会についての質問に対して、
「この問題につきましては担当である経済産業省を呼んでいただければ、詳しくご説明をさせていただけると考えています。」
と答えています。
 
「ご説明をさせていただける」というのはどう解釈すればいいんでしょうか。
「いただける」は「いただく」の可能表現です。
「いただく」は「もらう」の謙譲語ですから、普通の表現に直すと、
「説明をさせてもらえる」
ということになります。
 
これでは相手から説明してはいけないと言われているのに、なんとか頼み込んでようやく説明できるようになった、ということになります。
質問に対する答えにはなっていませんね。
中学校の国語のテストだったら、点はもらえないでしょう。
文脈からすると経産省から説明しますよ、ということでしょうが、なんでこんな表現を使ったのか、何か心配事でもあったんでしょうか。
 
正しい表現としてはどうでしょうねえ。
「させていただく」は2つの条件を満たしていますから使っても大丈夫。
政府の代表として言うなら
「ご説明させていただきます」
でしょう。
行政のトップとして、部下である経産省に指示をだすのなら
「説明させます」
でしょう。
シンプルに、
「ご説明いたします」
でももちろん構わないでしょう。
 
安倍さんは別の答弁で
経産省から説明いただく」
というような表現を使っているので、もしかすると根本的に敬語の理解が間違っているのかもしれない。
記者会見でプロンプター使って評判悪いけど、本当は話すのに自信がないからなのかな。
 
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