中級以上の日本語レッスンで説明に困る言葉は数あれど、なかでも難しいのが「浪花節」。
言うまでもなく義理・人情を重視する考え方のこと。
日本人には切っても切れないものです。
もちろん、義理も人情も日本人の専売特許ではなく、和英辞典にも義理(duty)・人情(human feelings)といった記載があります。
でも、なにか違うんですよねえ。
単純な貸し借りとも、無償のボランティア精神ともちょっと違います。
どうしても日本人の思考回路と関係するので、言葉の持つ意味まで理解してもらうのは難しくなります。
菅首相が退任表明をしました。
辞める人には浪花節精神を発揮するのが日本人。
不人気だった菅さんですが、コロナ対策はだれがやっても難しかったのはたしか。
もっとうまいやり方はあったはずなので、批判されるのは当然。
でもやるべきことを何もやらないで辞めるわけではありません。
辞任のニュースを聞いてから、多少なりとも同情心をかきたてられた人も多かったはずです。
そんな浪花節をまったく持ち合わせていないのがこの人。
無責任だの、怒りをもって受け止めているなど、言いたい放題。
非難めいたことばかり言って、人間的な温かみはまったく感じられません。
枝野さんの言葉に全面的に同意する人は、ほとんどいないんじゃないでしょうか。
ここは一言でも、ご苦労様でしたとか敬意を表するとか言えば、ずいぶん印象も違ったでしょうに。
浪花節精神が感じられない政治家は、日本では支持されないのではないかな。