日本語レッスンでは比較的初期のレベルからスピーチのようなものをやってもらうことが多いです。
もちろん最初はしどろもどろだし、文法もめちゃくちゃなことはごく普通。
でも中級レベルになると、本気でいっているのか、間違えているのか判断に困ることがあります。
つい先日も「家族・友人を紹介する」というお題がありました。
そこで「私の友人は適当です。」といきなりはじめて、聞かされたこっちは目を丸くしてしまいました。
その後の内容からすると、いいかげんな性格ではなく真面目実直な人として紹介したかったよう。
おそらく日本語能力試験の問題集あたりで、「適当な形にしなさい」とかの問題文を覚えていたのでしょう。
適当とは、正しいこと以外の意味はないと勘違いしたはず。
もちろん、しっかり指摘しておきましたが。
このように、本人の思いと外に出した言葉とでギャップが生じることがあります。
自身の発言で袋叩きにあった静岡県の川勝知事。
職業差別が批判されましたが、本人は否定し続けていて、どうやら本気でそう思ってそう。
受け取る側の問題かのようなことまで言って、火に油を注ぎました。
発言を受け取る側からすると差別以外ありえないのだけれど。
このギャップの原因は「違って」という言葉だと思う。
この「違って」がどこにかかるかが問題。
https://www.asahi.com/articles/ASS427JXPS42ULFA00T.html?iref=pc_extlink
普通に読むと「野菜を売ったり牛の世話をするとかモノを作ったりする人」とは違って県庁で働く人は頭脳・知性が高い人という差別発言です。
これを本人の言う通りの職種が違うという意味に受け取るのはまず無理。
だって、「違って」のあとに「基本的に皆様方は」と続くから。
となると、比較対象は野菜を売る・牛の世話をする人となる。
「皆様方の仕事は」と続けば、百歩譲ってわからなくもない。
それでも、「知性の高い」とか使っている時点でアウトでしょうが。
今回は差別発言だから大きく取り上げられたけど、普段の業務でも似たようなことはなかったのかな。
本人はAと言ったつもりが周りはBと取り、結果が思わぬ方に転がっていったとか。
これは川勝知事に限らず、誰にでもありうる話。
相手の理解度はわからないので、気をつけようがないのが難しいところですが。