平井デジタル改革担当大臣が、システム開発ベンダーのNECを「完全に干す」と発言して釈明に追い込まれています。
でもNECの人に面と向かって言ったわけでなし、部下にハッパをかける意味で言ったらしいので、そんなに大騒ぎするような問題とは思えませんけどね。
ただ、表現の問題はほんの枝葉。
もっと問題にすべき発言がありました。
それは「払わないよ。NECには」という発言。
事の発端は、オリンピックで来日する外国人観客向けに健康管理アプリの開発をNECに発注したこと。
海外客が来なくなったのでアプリの中の顔認証システムが不要になり、その分の支払いの減額交渉を行っていた時の話のようです。
要は、「使わないから、その分は金を払わないよ」というお話し。
ここで問題なのは、顔認証システムが不要になったのはNECの責任ではないということ。
発注者側の事情で削った機能ということになります。
例えで言うと、4DKの注文住宅を建築中に「やっぱり3DKでいいから代金まけろ」と言い出すようなもの。
これを許してしまったら、官公庁のシステム構築を請け負う企業はなくなってしまいます。
これを防ぐには、開発工程ごとに支払いを行う工事進行基準を適用すべきなのですが、官公庁ではそうではないようです。
泣く子と地頭には勝てぬというわけでNECは減額に応じたようですが、本来なら裁判になっても不思議ではありません。
以前IT企業で働いていた時は官公庁と直接取引をしたことがないのでわかりませんが、自分の責任でもないのに減額を許容する契約が結ばれているとは思えません。
つまり、官公庁のシステム構築を請け負うベンダーは常にこの減額リスクに直面することになります。
それに備えるにはリスクを織り込んだ、より高額の単価での見積りを出すことになります。
結果、システム構築にあたっては、これまでより高額の費用が必要になることになります。
マスコミも野党も、突っ込むならこっちでしょうに。
一応、健康管理アプリの開発費は73億円から約半分になって、本人はドヤ顔でしょう。
でもそのツケは、目に見えない形で何倍・何十倍にもなって返ってくることになるはずです。
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