基本的にどこの国の人もそうですが、特に韓国の人に日本語を教えていると母国語の干渉で、意図した内容とは異なる日本語になることが多いです。
Yahooニュースに掲載されたこの記事なんかもそうですね。
韓国与党代表「尹大統領、痛恨の決断で韓日関係が改善…経済界に希望」(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース
記事の内容からすると、韓国の経済界では日韓関係の改善は歓迎していますから、「痛恨」という言葉は合いません。
Google先生に痛恨の翻訳をお願いすると、日本語の「痛み」を表現する言葉になりました。
元の韓国語にこの言葉がどのような意味が含まれているのかまったくわかりませんが、「身を切る」や「自己犠牲」などの意味が含まれているかもしれません。
これらの言葉には多少なりとも前向きな意味がありますが、「痛恨」には後ろ向きの意味しかありません。
文脈とは明らかに違うので、誤訳らしいことはわかります。
使うなら「果断な」「思い切った」といったところでしょうか。
「未来志向」でもいいかもしれません。
ただ、文字で書かれていたら間違いだろうと予想がつきますが、音声だとちょっと。
本当は改善したくないのに、改善の方向に向かっていると皮肉でいっているともとれます。
会話や日本語レッスンだと意図を確認できますが、一方的に話すプレゼンなどで使われると厄介。
話し手は気持ちよく話しているのですが、聞いている方にはモヤモヤだけが残ります。
私の生徒さんは上級者が多いのですが、時々意味不明な表現を使うことがあります。
商談などで変なことにならなければいいのだけれど、こればっかりは。
日本語教師の立場からすると、もし外国人が文脈とは違う表現を使ってきたら、都度確認してほしいところです。
その方がお互いのためですからね。